バレエ作品|『エスメラルダ』あらすじ・登場人物など
2023/05/27
バレエ作品『エスメラルダ(La Esmeralda)』のあらすじ・登場人物・見どころなどについて、まとめました。
~筆者注~
このブログ内の"バレエ作品"の紹介記事は、舞台鑑賞(ライブ・DVD・映像作品)に先立って作品についての理解を深めるため、もしくは鑑賞後の振り返りとして、筆者が個人的に調べた内容を備忘録として書き留めたものです。
振付・演出によって同じタイトルであっても設定やストーリー展開が大きく異なる場合があるため、この記事の内容が全てのバージョンを網羅するものではないこと、また、内容の正確性については慎重を期しておりますが、あくまでも"個人の調べもの"の域であることをご了承くださいませm(_ _)m
Contents
『エスメラルダ(La Esmeralda)』登場人物・あらすじ・作品の背景
ヴィクトル・ユゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』を基に、創作されたバレエ作品『エスメラルダ(La Esmeralda)』。
同小説をベースにしたバレエ作品には『エスメラルダ』以外に『ノートルダム・ド・パリ』という題名の作品もあり、登場人物など共通する部分も多くありますが、ここでは『エスメラルダ』のほうにフォーカスして書きます。
『エスメラルダ』主な登場人物
◆エスメラルダ:美しいジプシーの娘。カジモド、フロロ、フェビュスの3人から思いを寄せられるが、本人が思いを寄せているフェビュスには婚約者がいる。
◆カジモド:ノートルダム大聖堂の前に捨てられていたところを聖職者フロロに拾われた醜い外見を持つ男。成長し、ノートルダムの鐘つき役となっている。
◆フロロ:カジモドを拾った聖職者。神に仕える身でありながらエスメラルダに思いを寄せ、苦悩する。
◆フェビュス:フロロの差し金でカジモドに連れ去られそうになったエスメラルダを助けた夜警隊の隊長。エスメラルダと恋に落ちるが、実は婚約者がいる。
◆フルール:フェビュスの婚約者。
◆クロパン:悪党浮浪者グループのリーダー
◆グランゴワール:詩人。クロパンにより絞首刑になりかけたところをエスメラルダの機転で助けられ、ジプシーの掟に従って仮の夫婦となる。
『エスメラルダ』あらすじ
※最も一般的と思しきストーリーを記載しました。
~100文字deあらすじ~
~あらすじ・もうちょっと詳しく~
舞台は15世紀のパリ。教会が絶大な権力を持ち、街はすさんでいる。
ノートルダム寺院の広場に迷い込んだ詩人・グランゴールは、悪党グループのリーダー・クロパンに捕らえられ、殺されそうになったところをジプシーの娘・エスメラルダに助けられる。事の顛末を見ていた聖職者・フロロは、エスメラルダの美しさに魅入られる。
エスメラルダへのゆがんだ愛情を抱えたフロロは、ノートルダム寺院の鐘つき役・カジモドを遣ってエスメラルダを手中にしようと企てるが、夜警隊の隊長フェビュスによって阻止される。助けられたエスメラルダはフェビュスと恋に落ちる。
詩人・グランゴールとかりそめの夫婦として暮らしていたエスメラルダだったが、フェビュスへの想いが抑えられず諍いとなり、グランゴールは部屋を出ていく。エスメラルダをかどわかす計画に失敗したフロロも、彼女の元を訪ねて求愛するが拒絶され、フェビュスへの憎悪を募らせる。
フェビュスと婚約者フルールの婚約の宴。宴の余興にジプシーとして招かれたエスメラルダは、グランゴールとともに踊りを披露する。哀しみをこらえて踊るエスメラルダの首には、フェビュスから贈られたスカーフが巻かれているが、実はそのスカーフはかつて婚約者フルールからフェビュスに贈られたものであった。そのことをフルールに気取られ、エスメラルダは館から立ち去る。(その場でフルールが婚約を破棄する、というストーリー展開も存在。)
婚約した身のフェビュスであったが、エスメラルダへの好意も断ち切れず、愛を語らうふたり。そこに嫉妬に憑りつかれたフロロが現れ、フェビュスを刺し殺す。エスメラルダは、フェビュス殺しの罪の濡れ衣を着せられ、捕らえられる。
祭りがおこなわれている広場。フェビュス殺しの罪で絞首刑を宣告されたエスメラルダが連れられて行く。(この後、実は生きていたフェビュスが現れ、エスメラルダの無実を晴らす、とするストーリーもある。)
作品の背景:原作とバレエ作品について
ヴィクトル・ユゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』(1831年出版)は、バレエのみでなく複数の映画やミュージカルの題材にも用いられ、登場人物名や役まわりこそほぼ共通しているものの、キャラクター設定やストーリー、タイトルなど大小さまざまな違いがあって、どれがどれだか、ややこしい~!のが特徴(?)です。
あのディズニー映画の『ノートルダムの鐘』もそのうちの一つ(観ていないのですが^^;)ですが、確かあれはカジモドがメインのお話だったような。そして二股男フェビュスが見た目も性格も良い人に描かれていたような…
バレエ作品『エスメラルダ』では、「あらすじ」の項に記したように、美しいジプシーの娘・エスメラルダが主人公に据えられてストーリーと踊りが展開。
1844年のペロー版『エスメラルダ』が最初のバレエ作品ですが、改訂や新版の製作が重ねられ、複数の版が存在し、これまた設定や展開にちょこちょこ違いがあるみたいです。『白鳥の湖』の初演が1877年なので、それ以前に作られたクラシック作品なんですね。
ちなみに、現在ガラ公演やコンクールなどでしばしば踊られる『エスメラルダのパ・ド・ドゥ』(タンバリンを持って踊る女性ヴァリエーションが有名)は、1954年にベリオゾフがプティパ版をベースに振付を改訂した際、新たに振付けられた踊りなんですって。 愛するフェビュスの婚約の宴に招かれてエスメラルダがグランゴールと踊る場面です。酷ですね…
原作の小説では、登場人物のほぼ全員が悲惨な最期を迎える重~いお話だそうですが、バレエでも映画・ミュージカルでも、善人・悪人の設定が思いっきり変えられていたり、ハッピーエンドで終わるように話を持っていかれちゃったりと、もはや原型をとどめていない作品も多いようです。
この"そもそもマイナーな小説がベースなうえ、定番ストーリーがどれなのかイマイチわかんない"ところが、全幕通しての上演が少ない理由なのかも?と思われます。
バレエ作品『エスメラルダ』・みどころ
全幕通して観たことがないので、大きな事は言えないのですが^^;、やはり『グラン・パ・ド・ドゥ』に注目かな?と。
原作では16歳・絶世の美女として描かれているエスメラルダ。観るもの全てを虜にするような、目が離せなくなるような魅力を放つダンサーでなければ! お姫様役とは違う、ジプシーらしい奔放さと華やかさに交じった悲哀を感じさせる表現力も必須です。"宴の余興として踊る"という場面なので、連続して行われるアチチュード・バランスのキープはじめ難度の高いパもキレイに決まらないと格好がつかないですよね。
かの有名なタンバリンを手にしてのエスメラルダのヴァリエーションは、この曲にこの振付あり!な、一度目にしたら忘れられない何ともキャッチーな踊り。
上半身を大きくひねって背中を見せるエシャッペで始まる冒頭から、高く振り上げたりパッセした脚のつま先でタンバリンを打ち鳴らし、さまざまな種類の回転を披露しながら展開されていく踊りは、"魅せてお金をもらうため"のもの。最後に客席に向かって差し出す左手は『さあ、お金をちょうだい』という仕草なのだとか。なるほど!
↓映画『ファースト・ポジション』で一躍有名になったミコ・フォガティさんのエスメラルダのVa.。
『エスメラルダ』にまつわるあれこれ
音源が…無い!
ハマったバレエ作品があればすかさず音楽を入手、家事や電車での移動中にヘビロテで聴いて気分UP!するという癖(ヘキ)のある筆者。
偶然Youtubeで見つけてハマった、エスメラルダのVa.についても、iTunesでダウンロード♪と探すも… 無い!見つからない!
調べものは比較的得意だと思うのですが、作曲者のドリゴ(Drigo)を軸に色んなワードを絡めて何度検索してみても、これ!という楽曲のオーケストラ演奏が見つからず、辛うじて見つかったのはレッスン用のピアノ演奏バージョンのみ…
Amazonで、この曲が含まれたCDとかがあるかも?と思って探せど、やはり見つからず…
どうやらドリゴのこの曲は、バレエ『海賊』に使われることがあることが判明したので、そちら方面から攻めて探せど、空振り続き…
いまだ入手に至っておりません。情報をお持ちの方がいらしたら、ぜひとも教えてください!!!
↓↓↓後日談 : 音源、見つかりました!
2017年夏『バレエ・スプリーム』にて鑑賞予定♪
今回、『エスメラルダ』について調べたのは、2017年夏の『バレエ・スプリーム』という英国ロイヤル&パリオペラ座という大好物2大バレエ団共演のガラ公演演目に含まれているからなのです。
パ・ド・ドゥを踊るのは、最近注目度がぐんぐん上がっているオペラ座のオニール・八菜さんと、エトワール任命を受けたばかりのヒューゴ・マルシャン。
舞台映えする大型カップルによる踊り、本当に楽しみです^^
~reverence~