上達のヒント バレエ用語と動き

バレエ用語と動き| 方向・状態・位置を表す言葉②

2023/06/07

日々のレッスンでさらっと使われがちな、 『これだけは知っておきたいバレエ用語』をピックアップしました。

バレエのレッスンで使われる用語は、基本的にはフランス語
聞きなれない言葉にフリーズして動きが止まってしまわぬよう、よく使われる言葉は覚えておきたいものです。

この記事では 『方向・状態・位置を表す言葉②』と題して、バレエのレッスンで頻出の6つの言葉を取り上げました。 (その➀はこちら☆)

 
 

方向・状態・位置を表すバレエ用語6つ

【前・後ろ】
1 ドゥヴァン=前に
2 デリエール=後ろに

【身体の向き・ポジション】
3 アン・ファス=正面(向き)
4 クロワゼ=斜め向き①
5 エファセ=斜め向き②
6 エカルテ=斜め向き③

1ドゥヴァン と 2デリエール ⇒『前・後ろ』を表す

(自分の) 前 or 後ろ を指す言葉が、「ドゥヴァン」と「デリエール」です。

言葉の響きが小難しさを醸し出していますが、意味はいたって単純なので、深く考えずまるっと覚えてしまいましょう。
 

1ドゥヴァン=前に

ドゥヴァン=devantは、『前に』という意味のフランス語。
足を前に出す時や、上体を前に倒す時などに登場します。

筆者の見たところ、好んで使う先生とそうでない先生に分かれる気がします。『前へ~』で事足りるといえば事足りるので^^; 
とはいえ、覚えておいて損はない、基本的なフランス語表現です。
 

2デリエール=後ろに

デリエール=『derriere』は『後ろに』という意味。
前出のドゥヴァンと同様、あまり使わない先生もおいでですが、こちらも突如登場しても困らぬよう覚えておいたほうがよい言葉です。

3アン・ファス 4クロワゼ 5エファセ 6エカルテ⇒身体の『向き・状態』を表す

前項1・2の「ドゥヴァン」「デリエール」が 『自分目線での前or後ろ』を指す言葉 だったのに対し、3~6の4つの言葉は、観客目線で見たときの踊り手の身体の向きや状態を指します。
 
詳しい説明に入る前に、バレエにおける『8つの方向』について理解しておきましょう。
 

『8つの方向』について

バレエにおける"お約束(共通認識)"のひとつに、『8つの方向』があります。

方向に➀~⑧の番号を振り当てる ことによって 正確で美しいポジションどりの手立てとしたり、踊り手がそれぞれの立ち位置に関わらず方向に関して共通の認識を持つのです。

バレエ1~8の方向 ①向き アンファス

正面を「➀」として起点にし、時計回りに45°身体の向きを変えるごとに、➁→➂→④…と番号が振られています。

8つの方向を常に意識することで、意思を持って方向どりができるので、踊りがグンとクリアになりますよ!

この記事の一番下↓↓↓最後の項に、UPしている英国ロイヤル・バレエの動画をご覧になると、それがよくわかります^^
 
 

3アン・ファス=正面(向き)

『En face』というスペルからお察しの通り、face=英語と同じく『顔』『表』『正面』という意味。
下のイラストのように観客と真正面から顔を合わせていることを指します。


バレエ1~8の方向 ①向き アンファス


脚の状態に関係なく、身体が(角度をつけることなく)真正面を向いていることを「アンファス」と言います。
センターレッスンで『アンファスで5番で立って始めましょう~』と言われたら、『身体は真正面を向いて5番ポジションで立つのね』と理解します。

↓下は「アンファス」でドゥヴァン(前)にタンデュしているところ。


4 クロワゼ=斜め向き① 、 5 エファセ=斜め向き② 

『クロワゼ』=croisee、『交差=クロス』の意味。
英語の『cross』にあたります。

『エファセ』(「エファッセ」)=efface、『消し去る』『外す』の意味(と言われても、ピンと来ないけど)。
調べた限りでは、英語も同じスペル&意味でした。

2つとも、身体の向きを観客に対して斜め45度(『8つの方向』で言う➁か⑧)にとるのですが、正面(観客)から見たときに踊り手の脚が交差しているかどうか、で『クロワゼ』or『エファセ』と呼び方が変わります

それぞれイラストを見ながら説明を加えます。
  

4 クロワゼ=斜め向きで脚がクロスされている状態

↓下のイラストは前タンデュの『クロワゼ』。
斜め(⑧の方向)を向いて立った上で、脚がクロスして見えるよう右脚を前にタンデュしています。




↓下は後ろタンデュの『クロワゼ』。上の図とは出す脚が変わって左脚になっていますが、出す脚が左右どちらかに関わらず、観客から見て脚がクロスしていれば『クロワゼ』となります。


5 エファセ=斜め向きで脚がクロスしていない

↓こちらは前タンデュの『エファセ』。
身体の向きだけ見ると『クロワゼ』のイラストと変わっていませんが、出す脚が観客から見てクロスしていないので、『エファセ』となります。



 ↓こちらは後ろタンデュ。
上半身のひねりに「?」となりますが、出す脚がクロスしていないので、こちらも『エファセ』です。

こんがらがりがちな 『クロワゼ』 と 『エファセ』、ですが。

『クロワゼ』と『エファセ』の2つ、混乱してしまいがちですが、

斜め向きに立ったときに脚がクロスして見えるかどうかの違い だけです!

上のイラストでは、わかりやすいよういずれも"タンデュしているところ"を例にとりましたが、5番ポジションでも・アチチュードでも・グランバットマンでも、とにかくクロスしていればクロワゼ。してなければエファセ。

…じゃあ横に足を出すときは?クロスした状態なんて見せられないんじゃ?とお思いの貴方、すばらしい気づきです~!次項で説明します。
 
 

6エカルテ=斜め向き③ 

『エカルテ』=ecarte。引き離された、という意味です。
前述の『クロワゼ』『エファセ』と同じく身体は観客に対して斜め向きなのですが、それに加えて身体の横方向に脚を出した状態を指す言葉です。

観客により近い方向に足を出した場合、『エカルテ・ドゥヴァン』、舞台の奥方向に向けて足を出した場合『エカルテ・デリエール』と手前側・奥側どちらの脚を出すかによって細分化する場合もあります。

↓斜め向きに立ち、脚を横に出している『エカルテ』。
さらに細かく言うと、観客により近い方の脚を出しているので『エカルテ・ドゥヴァン』、ですね!


『アン・ファス』『クロワゼ』『エファセ』『エカルテ』がわかりやすい動画

『アン・ファス』『クロワゼ』『エファセ』『エカルテ』がとーーってもわかりやすい動画を発見しました。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス(英国ロイヤル・バレエはこの傘下に在ります)の公式映像です。
以下の順番で『タンデュ』のデモンストレーションを披露してくれています。

①クロワゼ・ドゥヴァン
②アンファス・ドゥヴァン
③エカルテ・ドゥヴァン
④エファセ・ドゥヴァン
⑤アンファス・アラセゴン
⑥エファセ・デリエール
⑦アンファス・デリエール
⑧クロワゼ・デリエール
→0:25あたりから、脚を替えて同じ順番でリピート。

シンプルなタンデュでさえもこんなに美しく見えるのは、きちっとしたポジション取りも大きく関連しています。
床に斜め45度の線(バツ印)が描かれていますが、身体の向きもつま先の角度も見事に45度の角度を取っています。
フロアに立ったら、心の中で自分の立ち位置まわりに"□"を描いて①~⑧の番号を振る、くらいの意識でいるとよさそうですね。

セットでできるようになっておきたい、基本の腕のポジションもデモしてくれているので、さっと腕のポジションがとれないとお悩みの方は、100回くらい映像に合わせて練習してみると、身体で覚えられそうです。
(筆者も一度やってみましたが、存外に難しいです!!!)

以上、方向・状態・位置を表す言葉②でした。

 
記事中に出てきた女性のイラスト(筆者渾身の力作!)は、全て同じ方向(8番)を向いています。
しかし、脚を出す方向や上半身の使い方で、それぞれ違った印象を与えるポーズとなっていると思いませんか? 身体を美しく見せるポジションとして、写真をとる時など普段にも応用できます。

しかし・・・この記事を書くにあたって、今までよくわからないまま放置していたバレエ用語について勉強したことにより、かなり意味がクリアになりました… 実は、ところどころすっ飛ばして聞いていた先生の言葉。。。ごめんなさい、先生…

 
~reverence~
 



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