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バレエ用語と動き| 『グリッサード』と『シャッセ』

2017/06/12

なんとなく流しがちな『グリッサード』と『シャッセ』…

「1歩進むだけ」をバレエ的動きにするとこうなりました!みたいなパ、『グリッサード』と『シャッセ』。

単体でスポットライトが当たることは少なく、前後の華やかで躍動感あるパ(アラベスクとかジャンプ系とか)に気を取られて、なんとな~く流しちゃいがちなこの2つですが、こういうところこそクリアに・丁寧に・美しく行うよう心掛けると、踊り全体のレベルがアップすること間違いなし!だと思います。そのためには、違いを理解して動きに反映させねば!

ということで、『グリッサード』と『シャッセ』の動きのポイントやコツについて、筆者の研究結果をまとめました。
 

 

『グリッサード』=『滑ること』

仏語『glissede』は英語の『glide』=グライドに相当。すなわち、日本語では『滑るように動く』という意味を持つ単語です。

バレエ用語としては、言葉の意味通り"足を滑り出させること全般"を指す場合もあるものの、バレエ・クラスの中で『グリッサード』と言う場合には、"プリエから前後左右いずれかに片脚を滑り出させて伸ばしきり、伸ばした足のつま先方向へと重心をずらしながらジャンプして移動→片脚ずつ順番に着地"する動きを指します。

 

一目瞭然・動画で見る『グリッサード』のお手本

言葉にするとややこしいですが、グリッサードかくあるべし!という、美しくわかりやすいYoutube動画を見つけましたので、以下リンクからご覧ください。

◆英国ロイヤル・バレエの現プリンシパル高田茜さんによるグリッサードのデモンストレーション動画

 
ファーストソリスト時代の高田さんによる美しいグリッサード、いかがでしたか? シンプルなパもここまでの完成度だとうっとり見入ってしまいますね。

 

レッスンで確認したい・『グリッサード』のチェックリスト

☑ プリエから、動脚の足裏で床をシュッとこすりながら進行方向に出す。

☑ 滑り出させた動脚の足裏が床を離れた瞬間、つま先・足首・膝をしっかり伸ばしきる。(床をシュッとこすった力を利用する)

☑ 追いかけるほうの脚は、床を蹴って軽くジャンプしながら進行方向に移動。こちらも足裏が床を離れた瞬間、つま先・足首・膝をしっかり伸ばしきる。

☑ 両脚が描くハの字の残像が空中に残るよう、脚をしっかりピンと伸ばす。

☑ つま先から順に足裏を使い、静かに着地する。(かかと先行で着地しない。)

歩幅やジャンプの大きさは、前後のパとの関連や曲調などによって異なりますが、歩幅が小さくほとんどジャンプしない場合でも、大きく歩幅をとってしっかりめのジャンプを伴う場合でも、意識すべきポイントは変わりません。


 

『シャッセ』=『追いかける』

フランス語『chasse』は 英語の『chase』に相当。すなわち、日本語では『追いかける』の意となります。

バレエ用語としては、主に先行して踏み出した脚をもう一方の脚が追いかける、重心の移動を伴う動きを指します。

 

広い意味で使われる『シャッセ』

バレエのレッスンにおいて『シャッセ』という言葉が使われる範囲が広いことも、なんとなく流しちゃいがちな原因のひとつなのでは?と思います。

筆者の知る限り、『シャッセ』という言葉が先生の口から発されるのは、以下の動きの時。(他にもあるよ!とか間違ってるよ!など、ご意見あればぜひ教えてください^^)

 
①プリエした片脚の足裏を床にビターっとくっつけたままズズズ…と移動させる
 →a: その後ジャンプして両脚を空中で伸ばし、5番で着地(アッサンブレの後半と組み合わさった感じ)
 →b: 移動させた脚を軸にして伸び上がり(ジャンプしない)、タンジュの戻しの要領で5番へ

⇒参考映像はコチラ!(大人バレエ初心者さんと思しき欧米人女性のデモ映像です。)
 
 
②伸ばして出した脚をプリエで踏みこむと同時に、もう一方の脚で追っかけるように集めてジャンプ&空中で伸び上がり、着地する。
 →c: 続いて別のパに移行
 →d: 同じ動きを"シャーッセ・シャーッセ"と繰り返す(ギャロップみたいに)

⇒参考映像はコチラ!(同じく欧米の大人バレリーナさんによるデモ。こちらはバレエ経験けっこう長めの方と見た!)

 
 
は、バーレッスンのロンドゥ・ジャンブあたりとの組み合わせや、センターでのアダージオのアンシェヌマンなんかでよく使われるし、

はセンターでのアレグロやグランワルツのアンシェヌマンで登場しがちです。

移動の方向が前後左右それぞれ存在しているし、方向転換を伴う場合もあったりして、さらにわけわかんなくなっちゃうんですよね^^;

『"シャッセ"の動きがわからない!』と混乱した場合には、ズズズ…と足裏を床につけたまま繰り出す①タイプと、脚を伸ばして出しプリエに踏み込む②のジャンプを伴うタイプがあることを思い出すと、ちょっとだけモヤモヤが晴れるかもしれません。

 
 

レッスンで確認したい・『シャッセ』のチェックリスト

☑ 特に先行脚のアンドゥオールが崩れると、なし崩し的に形が壊れてしまうので注意する。

①足裏ズズズ…タイプの場合

☑ プリエしつつ、足裏を床にズズズと滑らせ動脚を出す。この時、動いていないほうの足で動脚を押し出す意識をもつ。

☑ 動脚の動きに上半身を連動させ、なめらかに重心位置を移動させる
 

②足を伸ばして出しジャンプする場合

☑ 先行して出す足はつま先・足首・膝が緩まないようピンと伸ばした後、プリエで踏み込む

☑ 追いかける方の足をシュッと引き寄せながらジャンプ、空中で両脚をピンと伸ばしきり『I』の字になる瞬間をつくる

 
 

で、『シャッセ』と『グリッサード』との違いは?

グリッサードと混同しそうになるのは、ジャンプを伴うシャッセだと思います。どちらも"ジャンプを伴って一歩進む"パなので、一度つっかえちゃうと『あれれれれ?』と動きが止まってしまいますよね。

筆者的も『わかんないの沼』にハマっちゃうことがよくあるのですが、パソコンを前に冷静に考え、違いを挙げてみました。

◆違いその1: 空中での脚のカタチ
グリッサードの脚が空中で『ハの字』になるのに対し、シャッセ『I』。いずれもほんの一瞬のことですが、2本の足が両方床を離れている時に2本脚が作る形が異なります。
 
◆違いその2:ジャンプを踏み切る足とタイミング
グリッサードの場合、ジャンプを踏み切るのは後行の足。先行する脚を進行方向に出してすぐあとのタイミングでジャンプします。

シャッセの場合は、先行させた足をプリエして踏み込み、後行の脚を引き寄せ切ったあたりで先行足で踏み切ってジャンプ。動きを分解した時、ジャンプのタイミングが終盤に来るのが特徴です。ゆえに、最初に足を出すときにうっかり飛び上がってしまわず、まずはプリエして踏み込む意識が大事。

  
 

いかがでしたか?

アレグロやグランワルツなどのアンシェヌマンの中で、パとパの"つなぎ"として登場しがちな、グリッサードとシャッセ。、単体でそこだけ意識するとかえって流れを妨げることにもなりかねないのですが、ダンサーたちの踊りを観ていると、グリッサードもシャッセもスキなく美しいんですよね。。。

身体能力にさほど左右されず、丁寧にきっちり行おう!という意識をもって動きに反映させるだけで、かなり改善が見込めるパだと思うので、次回のレッスンでちょっとフォーカスして頑張ってみてはいかがでしょうか^^

  
~reverence~
 

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