バレエ用語と動き| 『アダージオ』と『デヴェロッペ』
2023/06/01
Contents
『アダージオ』と関連するパ
『アダージオ』=『ゆっくりとした』
『アダージオ』(アダージョ、アダジオとも)は、イタリア語『adagio』=音楽用語として『ゆっくりとした』『遅い』の意味をもつ言葉で、ゆっくりと遅いテンポの曲そのものを指すこともあります。
バレエでこの言葉が登場する時は、特定の動き(パ)を指すのではなく、『アダージオ(=ゆっくりとした音楽)に合わせた踊り』を指します。
※全幕物のバレエ作品などでは、ゆっくりした音楽で踊る特定の踊りを指して『アダージオ』と言う場合もあります。(『白鳥の湖』の『王子と白鳥のアダージオ』が有名です。)
ゆえに、『アダージオ』に用いられるパは多様でありうるわけですが、『大人バレエ』・入門~基礎レベルのレッスンにおいては、以下のパの組み合わせ+αである場合が多いです。
●ポール・ド・ブラ →腕の動き
●プリエ
●カンブレ →上半身を前・横に曲げたり、後ろに反らせる流動的な動き。
●デヴェロッペ →次の項目へ
●バランス →ポーズをとり、バランスを保ったまま静止すること。
●プロムナード →アラベスクやアチチュードなどのポーズをとったまま、軸足のかかとを少しずつ動かして回ること(オルゴールの人形のように)。
『アダージオ』の基本的なアンシェヌマンはこちらのバレエ・ジャポンさんのレッスン動画をご覧くとわかりやすいと思います。
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『デヴェロッペ』について
アダージオのアンシェヌマンで必ずといっていいほど登場するのが、『デヴェロッペ』です。
『デヴェロッペ』とは、仏語『developpe』、英語では『(to) develop』。
『(~から~に)発展させる、広げる』という意味の単語です。
バレエ用語としての『デヴェロッペ』とは、『パッセを経由して前・横・後ろに脚を伸ばしきる動き』を指します。
こちらの動画では"『前・横・後ろのデヴェロッペ』→シュス・バランス"というとてもシンプルなアダージオのアンシェヌマンをデモンストレーションしてくれています。
なお、この動画の5:44くらいから、脚を上げてキープする際に重要な働きをする"脚の付け根にある筋肉"のエクササイズを紹介しています。
このエクササイズで『脚を付け根部分から切り離して動かす感覚』をつかむことができるとのことですが、背中を長く伸ばして行うこと、回数は5回~10回くらいとあまりやりすぎないこと、が注意点だそう。
レッスンで確認したい・『デヴェロッペ』のチェックリスト
☑ 最初のポジションからパッセするときは、床を拭うように動足指を使って足首ポジションへ、その後つま先で軸足をなぞるように動かす。
☑ ルティレから脚を伸ばしていくとき、膝の位置を下げない。(膝を下げるとそれより高く脚を上げられなくなる。)
☑ 脚を高く上げることよりも、しっかりと伸ばしきることに重点を。
☑ 脚を高くキープするために他の部分を犠牲にしてははならない。(上半身を反ったり曲げたりするなどによって脚の高さを保とうとしない。)
☑ 脚をもう伸ばせないところまで完全に伸ばしきってから、下ろし始める動きに移る。
☑ 呼吸を止めないこと。息を吸いながらパッセし、息を吐きながら足を伸ばす。
デヴェロッペは、柔軟性と筋力・それらをコントロールする能力・バランス感覚、全てを必要とする、とても高度なパの一つ。
バレエ歴にかかわらず、脚が上がらない・上半身が反ってしまう・足先まできれいに伸びきらせることができない・上半身が伸びやかに使えない、などのお悩みをお持ちの方が多いようです。
筆者も、『フンッ!と力む(=PUSHする)のではなく、上半身も脚も、伸びやかに伸びやかに(=STRETCHする)…』と心がけているのですが、なかなか思うようにいきません。
いい感じ!と思っていたら、先生に軸足の体側が曲がっているとのご指摘を受けたり。。。
話は戻って『アダージオ』
非常にゆっくりしたテンポにのって、自分の身体とじっくり四つに組み合って取り組む感のある『アダージオ』。
柔軟性にも筋力にも自信がない筆者のような人にとっては、身体能力の全てをつぎ込んで行っている、と言っても過言ではないと思います。
身体への負荷が高い動きではありますが、"必死感"を表に出さず、あくまでも優雅に行わなくてはなりません。
とはいえ、ゆっくりとした音楽で美しいポーズを堪能できる『アダージオ』は、ストイックに取り組む価値のあるバレエらしい動き。
素晴らしいバレリーナ、アリーナ・コジョカルさんの『ジゼル』のアダージオなんて、美しすぎてうっとり…です。
(00:30からのデヴェロッペなんて、感涙です…)
頭の中の映像は、いつもこれなんですけどね。。。
1ミクロンでも近づきたいものです。
~reverence~