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バレエ@映画館レビュー| 『アナスタシア』英国ロイヤル・シネマシーズン2016/17

2023/05/25

ちょうど都合が良い日だったので、封切り日に見てまいりました。英国ロイヤル・バレエの2016/17シネマ・シーズン第1弾『アナスタシア』

鑑賞にあたって役立つかもしれない上映時間や休憩などのちょっとした情報と、感想をまとめました。

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タイムスケール(上映時間・休憩など)について

筆者が鑑賞した映画館でのおよそのタイムスケールは以下の通りでした。(映画館によって開始時間やタイミングのズレがあると考えられ、また、手元が暗くて正確な時刻が記録できなかったので、あくまでご参考程度に。)

生中継した時の映像を(日本では録画ぶんを上映)、そのまま編集せずに上映しているらしく、実際に舞台で踊っている映像以外の部分がかなり長くて、幕前の観客席の様子など正直言って『カットしてほしかった…』と感じた時間帯も多かったです。

映画館でのタイムスケール(ご参考まで!)

◆17:00(映画館で"開始時間"として表示されている時間)~17:13ごろ
⇒見逃してもOK。
・映画の予告(バレエ関連ではなく普通の映画の予告)
・『NO MORE映画泥棒』『上映中のマナーについて』

◆17:13~17:30ごろ(17分間ほど)
・ROH(ロイヤルオペラハウス)シネマシーズン2016/17の紹介映像
・進行役のダーシー・バッセル(元プリンシパル)&ゲティン・ジョーンズ(TV司会者)登場
・アナスタシア役・オシポヴァへのインタビュー
・振付家マクミランについて&製作の舞台裏など
・劇場ライブ映像(観客席が映っているだけ…)

◆17:30~18:08ごろ(38分間ほど) 1幕

◆18:08~18:20ごろ(13分間) 休憩(Interval 13 minutesの表示)

◆18:20~19:05ごろ(45分間ほど) 芸術監督ケビン・オヘアへのインタビューなど⇒ 2幕

◆19:05~19:20ごろ(14分間) 休憩(Interval 14 minutesの表示)へ

◆19:20~20:08ごろ(48分間ほど) 指揮者へのインタビューなど⇒ 3幕 ⇒終了

他にも、以前アナスタシア役を踊ったヴィヴィアン・ドュランテとマクミラン婦人(振付家マクミランご本人は他界)へのインタビューあり。(2幕か3幕の開始前。どこのタイミングだったかは忘れてしまいました…)

1・2・3幕とも、進行役の2人から幕前の舞台の映像に切り替わった後、実際に幕が開くまでの時間がだらだら長いです。(そういえば昨年度もこんな感じだった…生中継じゃないので、ここはカットしてほしいな。)

休憩の間はずーっと幕を閉じた舞台が映っているのですが、画面下に生中継時リアルタイムで寄せられたツイッターコメントが紹介されます。(英語・フランス語・スペイン語あたりがほとんど…)

"寄り"の映像多し、なので、離れた席がベターかも。

映画は臨場感が欲しいので、普通の映画はスクリーンから近い席を選ぶ筆者ですが、、、

バレエ@映画館の場合、集中して動きをずっと追っているため、あまりにも"寄り"の映像が続くとキモチワルクなってしまいます。

今回の『アナスタシア』も舞台全体を遠目で見るアングルは少なく、"寄り"の映像が多く感じられたので、ちょっと遠いかな?くらいの席(スクリーン全体が目線に入り、さらに外ワクがある程度の席)でちょうどよかったと思います。

好みにもよりますが、ご参考までに。

小さなお子さんの鑑賞には適さないシーンも。

皇帝一家のパレード?時の映像や、ロシア革命時の銃撃の様子など、実際の出来事のモノクロ映像が作品の一部として使われています。

また、ダンサーたちによる踊り・演技の中にも、銃殺シーンやキスシーンがあるので、小さなお子さんには向かない作品かもしれません。

(筆者は戦争ものが苦手なので、モノクロ映像がけっこう怖かったです…)

『デジタルプログラム』について

進行役の口からたびたび『詳しくはデジタルプログラムを見てね』的なお知らせが入ります。

昨年度までは、紙の配役表を映画館で手渡してくれたと記憶しているのですが、ペーパーレス化の波はここにも。

簡易版の配役表とあらすじだけなら、英国ロイヤルのこちらのページで確認できますが、特典映像的なものなどは『デジタルプログラム』(※2023年5月現在ページ削除となっています。)で見る形になっているようです。

『アナスタシア』筆者の感想

ピタリとハマった配役

アナスタシア/アナ役のナタリア・オシポヴァ始め、配役が本当に絶妙で、後味としては演劇を見たときのようです。
マリアネラ・ヌニェスの大ファンである筆者ですが、確かに彼女にはアナスタシア/アナ役よりも、断然"踊り子:マチルデ・クシェンスカ"のほうが合っていて、華麗でゴージャス&妖艶な踊りと演技を見せてくれたし、ラスプーチン役のソアレスも得体のしれないブキミさを醸し出して存在感抜群、皇室一家もひとりひとりが活き活きと演じられていて、キャラクターの血肉と息吹が感じられました。

一筋縄ではいかないユニークな振り付け・超絶技巧の連続

マクミラン振付といえば、ロミ・ジュリが真っ先に思い浮かびますが… ロミジュリにも増してありきたりなパがひとつもない、独創性あふれる振り付け、さすが天才!と唸ってしまいました。
身体全体の高度なコントロールが求められそうなパがさらりと取り入れられまくった振り付けは、マネしたら1秒で転びそう…
時に間が抜けがちになる大人数で踊るシーンにおいても、フォーメーションが面白くて目が離せませんでした。

同じ音楽が使われている『ジュエルズ』との比較

2幕・舞踏会での踊り子クシェシンスカとパートナーのパ・ド・ドゥあたりから使われている曲は、『ジュエルズ』の"ダイアモンド"と同じチャイコフスキー作の音楽。『アナスタシア』の場合は、皇帝と妃、皇帝の愛人である踊り子の間に流れるぎくしゃくした空気がとてもよく表わされていると思えるし、一方ストーリーが無い抽象バレエである『ジュエルズ』では、ダイアモンドの持つ威厳に満ちた透明な輝きをよく表している…と思えます。
異なる作品中に同じ曲が使われていると、あれれ??となっちゃうことも多く、先に知った方のイメージが拭えないものですが、『アナスタシア』&『ジュエルズ』に使われている音楽については、どちらもキレイにハマっているなあ…と思います。

心晴れやか!という訳ではないけれど、おススメです!

ストーリーがストーリーだけに、観終わって心晴れやか!という訳にはいかないけれど(終演後のオシポヴァさんも魂抜かれたみたいにしばらくボーゼンとしてた…)、100%日本公演はない演目だろうと思われるし、迷っている方にはぜひ!とおススメしたい作品です。
錯乱状態のアナを描いた3幕はテーマの重々しさもあって特にコンテンポラリーが好きでない方には辛いかもしれないけれど、1~2幕は華やかなバレエの世界も堪能できるので、バレエの多面性を見るのにもってこいの作品とも言えそうです。

~reverence~

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