ダンサー ダンサー・バレエ作品紹介 英国ロイヤル・バレエ関連 バレエを観る

美しきダンサーたち| Marianela Nunez (マリアネラ・ヌニェス)@英国ロイヤル・バレエ

2017/12/18

人間はこうも美しくなれるものなのか…とため息をつきたくなる、バレエ・ダンサーたち。

舞台の上では人間離れした存在に思える彼らですが、素顔を少し知ると親しみが沸き、バレエ鑑賞がさらに興味深く楽しくなります。

今回は、『THE バレリーナ』な美しい容貌と明るく伸びやかなオーラ、若干15歳で世界ツアーに参加するなど天才とも呼ばれた華麗な踊りで、今や英国ロイヤル・バレエの"顔"として欠かせない存在の『Marianela Nunez』(マリアネラ・ヌニェス)さんの魅力に迫ります。
 
Sponsored Link




 

英国ロイヤル・バレエ| マリアネラ・ヌニェス

プロフィール

◆名前:マリアネラ・ヌニェス(Marianela Nunez)
◆出身:アルゼンチン・ブエノスアイレス
◆生年月日:1982年3月23日(34歳・2016年9月現在)
◆星座:おひつじ座
◆所属:英国ロイヤル・バレエ
◆階級:プリンシパル(最高位)

略歴

【アルゼンチン・ブエノスアイレス時代】
3歳 バレエのレッスンを始める
5歳 バレリーナになることを決意
8歳 ブエノスアイレスのコロン劇場・芸術高等研究所で学び始める
12歳 コロン劇場バレエ団で『ドン・キホーテ』のキューピッド役でデビュー
14歳 同バレエ団にコール・ド・バレエとして入団。その後、クラシコ・デ・ラ・ハバナ・バレエ団(キューバ)のアルゼンチンツアーにソリストとして参加。
1997年 15歳 マキシミリアノ・グエラのパートナーに抜擢され、ウルグアイ・スペイン・イタリア、そして日本の『世界バレエ・フェスティバル』(演目は、Aプロの『ディアナとアクティオン』)で踊ったのち、コロン劇場バレエ団のヨーロッパおよびUSツアーにゲスト・バレリーナとして招待される。

【英国ロイヤル・バレエ学校~バレエ団入団以後】
1997年9月 英国ロイヤル・バレエ学校研究科に入学
1998年 英国ロイヤル・バレエ入団
2001年 16歳 ファースト・ソリスト昇格
2002年9月 20歳 プリンシパル昇格

【主な出演作】
カテゴリー(クラシック・コンテンポラリーetc.)、振付家(アシュトン、クランコ、マクミラン、バランシン、キリアン、ロビンス、ウィル・タケット、ウエイン・マクレガー、クリストファー・ウィールドン、リアム・スカーレットetc.)に関わらず、ロイヤルのレパートリーに幅広く出演。

『コンチェルト(マクミラン)』、『ロミオとジュリエット(マクミラン)』、『うたかたの恋』、『マノン』、『シンデレラ』、『ラ・フィーユ・マル・ガルテ』、『モノトーンズ(アシュトン)』、『ランデヴー』、『ラ・ヴァルス』、『オンディーヌ』、『ダフニスとクロエ』、『エニグマ・バリエーションズ』、『不思議の国のアリス』、『Ballo della Regina(バランシン)』、『パゴダの王子』、『Birthday Offering(アシュトン)』、『ライモンダ(ヌレエフ)』、『コッペリア』、『チェックメイト』、『ジゼル』、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『眠りの森の美女』、『ドン・キホーテ』、『オネーギン』、『アゴン(バランシン)』、『ラ・バヤデール』、『アポロ(バランシン)』、『ジュエルズ(バランシン)』他多数

【受賞歴】
2005年 The prestigious Richard Sherrington Award for Best Female Dancer
2005・2012年 Critics’ Circle National Dance Awards for Best Female Dancer
2013年   Olivier Award for Outstanding Achievement in Dance

 

ダンサーとしてのエピソード・批評など

◆1997年、15歳で世界バレエ・フェスティバル(日本)に参加したときの共演者は、シルヴィ・ギエムアレッサンドラ・フェリなど、そうそうたる顔ぶれだった。

15歳で英国ロイヤル・バレエの入団オーディションを受けた時、公演中だったため『眠れる森の美女』のカラボスの衣裳のままで現れた審査員のアンソニー・ダウエル(当時の芸術監督)の前で、『ドン・キホーテ』のヴァリエーションを踊った(音楽無しで踊ったそう)。後日のインタビューで『15歳の私にはたいへんな経験でした。とても緊張した。』と話している。

◆英国ロイヤル・バレエを選んだ理由は?の問いに答えて。『私は幼い頃から、ロイヤル・バレエ団のビデオを観ていましたし、彼らがブエノスアイレスに来た時に初めてライヴの舞台を観ました。レパートリーも気に入っていましたし、それ以来ずっとロイヤル・バレエ団に入ろう、と決めていました。『眠れる森の美女』や『白鳥の湖』を始め、マクミランの『ロミオとジュリエット』アシュトンの『シルヴィア』『リーズの結婚』などどれも好きな作品ばかりでした。』

◆2006年、英国ロイヤル・バレエの『眠れる森の美女』公演にてオーロラ/リラの精両方の役を踊った際には、リラの精の温かさ溢れる踊りで批評家の心を打ち、オーロラ役ではその天性の表現力で『ロイヤル始まって以来最高』と言わしめた。

◆2007年の『白鳥の湖』では、紙面に「動き全てに意味と感情の輝きがある崇高な踊り」との賞賛の言葉が躍った。

◆2008/2009年シーズンの幕開けとして、10月4日に『白鳥の湖』のオデット/オディール役を踊った後、他プリンシパルのケガによる穴を埋めるため、同月の6日・7日とも同役を踊りきり、喝采を浴びた。

 

その他・プライベートライフなど

◆2011年同バレエ団プリンシパルのティアゴ・ソアレスと結婚。(その5年前、2006年に二人が主演した『眠れる森の美女』のカーテン・コール後、舞台上でソアレスがヌニェスにプロポーズしたというロマンティックなエピソードが。)
その後、2014年に別居、2016年に離婚されていますが、舞台上のパートナーとして、また友人として、今までで一番良い関係が築けているのだそう。

Instagramの公式アカウントはこちら(ご自身のアカウント登録が必要です)⇒marianelanunezofficial

カメラを趣味にもつマリアネラ。ご自身の踊りや舞台裏の画像はもちろん、自分で撮った画像もUPしています。

 

ぜひご覧いただきたい、Youtube動画リンク集

 
英国ロイヤル・オペラ・ハウス公式動画より:その1
2015年にUPされた『GISELLE』のトレイラー
 
英国ロイヤル・オペラ・ハウス公式動画より:その2
ドン・キホーテ 1幕より(1:05あたりから「キトリのVa.」です。)
 
英国ロイヤル・オペラ・ハウス公式動画より:その3
英国ロイヤル製作のバレエの進化を追った映像シリーズの中の『Ballet Evolved - Pierina Legnani 1863-1923』
2:15あたりから、"現在の(進化を遂げた)32回転"としてマリアネラの『白鳥の湖』・オディールのグランフェッテ32回転(実際はもっと回っています!)が観られます。なんと一気に4回転しているところも!
※ちなみに、画像タイトルの"Pierina Legnani"は、世界で初めてグラン・フェッテ32回転を披露したと言われているバレリーナだそう。
 
英国ロイヤル・オペラ・ハウス公式動画より:その4
『Symphonic Variations in the rehearsal room (The Royal Ballet)』
『シンフォニック・ヴァリエーションズ』より。最近パートナーを組む機会が多い、ワディム・ムンタギロフ(Vadim Muntagirov)と。

 

DVDでマリアネラの踊りを、高画質で&繰り返し楽しみたい方は

◆DVD:英国ロイヤル・バレエ団「白鳥の湖」 [DVD]

2009年3月コヴェント・ガーデン王立歌劇場での公演を収録。バレエを観るのが好きな方は、それぞれ『SWAN LAKEのマイ・ベスト』が心におありかと思いますが、筆者の場合はそれがこの公演です。

演劇性を重視した説得力あるストーリー展開と、クラシカルで豪華な衣装とセットも見どころ。バレエ団にこだわりなく、クラシックの定番的な『白鳥』を探している方にもおススメしたい名盤です。

 
 
ロイヤルバレエ ヴィサラ/牧神の午後/カルメン/チャイコフスキーのパ・ド・ドゥ[Blu-ray Disc]


2015年10月ロイヤル・オペラ・ハウスにて収録されたガラ公演。マリアネラは4作品のうち2作(『ヴィサラ』と『カルメン』)に出演しています。

コンテンポラリー作品の『ヴィサラ』では日本人プリンシパルの平野亮一さんと共に、芯の強さとデリケートさを兼ね備えたラインの美しい踊りを見せる一方で、『カルメン』のカルメン役では魅惑的な悪女を見事に演じています。

ロイヤルの今が旬なダンサーを一気に見るならこの一枚がおススメです。

 

筆者からひとこと

◆数年前に初めて映像で見た『白鳥の湖』。筆者の中の『理想のバレリーナ』像を形作ったかのような美しさと、華美でないのに目を引く雑味のないクリアで伸びやかな踊りに一瞬にして恋に?落ちてしまいました。

◆2013年、待ちに待った英国ロイヤル・バレエの来日公演『白鳥の湖』。初めて生で観たマリアネラの真珠のような気品と緻密なテクニックには、ただただため息をつくばかり。。もはやトリコと化してしまいました。

◆2016年夏の日本ツアーでは、念願の『ロミオとジュリエット』と『ジゼル』全幕を鑑賞する機会に恵まれたのですが、とにかく印象に残ったのは『アラベスクの美しさ』。足を後ろに上げるだけのポーズが、なぜあんなに美しく、多様で、多くを物語るのか…と考え込んでしまうほどでした。身体全てを使いきった表現力もすばらしく、どちらも悲恋物語とあって、最後は嗚咽しそうになるほど心震える踊りでした。

◆2017年マニュエル・ルグリがスーパーバイズしたガラ公演『ルグリ・ガラ』では、これまた悲願だった『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』とルグリ振付の『海賊』アダージオを鑑賞。
テクニック面でもスタミナ面でもものすご~く大変だという演目『チャイパ』では、身体を隅々まで意のままに操り、リラックス&キメの双方を自由自在に使い分けて、余裕しゃくしゃくの踊りっぷり!さらなる進化を見せてくれました。『ああ楽しい!ルグリと同じ舞台に立てて嬉しい!』という心の声が聞こえてきそうな満たされた表情も印象的でした。(マリアネラ、ルグリの大ファンで崇拝しているそう。)

 
 
マリアネラ・ヌニェスさんについて、いかがでしたでしょうか?
今回記事を書くにあたって、マリアネラの魅力を表す言葉をいろいろ考えてみたのですが、なかなか言葉が見つからず、困ってしまいました。一番好きなバレリーナだけに、熱が入りすぎては、という思いもあって言葉選びに慎重になったことも関係しているとは思うのですが、つきつめて考えてみると、彼女の魅力が多様で幅広いがゆえに、ひとつの言葉では表現できないのかもしれない、と思うに至りました。

バレリーナによっては、特定の役柄や分野のイメージがついていて、その枠から外れた姿が想像しにくかったりしますが、マリアネラの場合にはそういった枠は存在せず、クラシックのお姫様も、近代創作バレエも、コンテンポラリーもモダンも、それなりに、では決してなく、毎回期待を上回る世界を見せてくれるのです。

インタビューなどで事あるごとに彼女が語っている『私はバレエに恋しているの!』の言葉に表れているとおり、いまだ好奇心とまっさらな気持ちをもって新たな役や作品に積極的に取り組む姿勢や、役や作品に対する思いを自在に表現できるテクニックを併せ持っている彼女だからこそ、ここまで様々な顔を見せることができるのではないでしょうか。

そういえば、ケガをしたという話も全然聞かないマリアネラ…(『エピソード』の項に書いた通り、代役でガンガン踊れる!ということは耳にするけれど。)
15歳からずっと第一線のバレリーナとして活躍している訳は、その強靭さにもあるのでしょうね。あんなに繊細にも見えるのに…やはり多面性が!

~reverence~

Sponsored Link



-ダンサー, ダンサー・バレエ作品紹介, 英国ロイヤル・バレエ関連, バレエを観る
-, ,