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美しきダンサーたち| スティーブン・マクレイ (Steven Macrae)@英国ロイヤル・バレエ

2023/05/25

人間はこうも美しくなれるものなのか…とため息をつきたくなる、バレエ・ダンサーたち。

舞台の上では人間離れした存在に思える彼らですが、素顔を少し知ると親しみが沸き、バレエ鑑賞がさらに興味深く楽しくなります。

今回は、英国ロイヤル・バレエのプリンシパルとして、クリアでキレよくごまかしのないテクニックときりりと絞られた佇まい、天井知らずに輝きを増している『Steven McRae』(スティーブン・マクレイ(「マックレー」「マクレー」)さんの魅力に迫ります。

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英国ロイヤル・バレエ| スティーブン・マクレイ

プロフィール

◆名前:スティーブン・マクレイ(Steven McRae)
◆出身:オーストラリア・シドニー
◆生年月日:1986年12月19日(30歳・2016年9月現在)
◆星座:射手座
◆所属:英国ロイヤル・バレエ
◆階級:プリンシパル(最高位)
◆入団後の略歴:
2003年 ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラーシップを得て17歳でロイヤル・バレエ・スクールに入学
2004年 同スクール卒業後、英国ロイヤル・バレエに入団
2005年 19歳 ファースト・アーティストに昇格
2006年 20歳 ソリストに昇格
2008年 22歳 ファースト・ソリストに昇格
2009年 23歳 プリンシパルに昇格

◆受賞歴:
2006年 Emerging Male Artist (Classical)
2011年 Best Male Dancer awards at the Critics' Circle National Dance Awards.
2014年 Young Australian Achiever in the UK by the Australia Day Foundation

◆所属バレエ団以外での出演歴:
アメリカン・バレエ・シアター、カナダ国立バレエ団、オーストラリアバレエ団、東京バレエ団、その他。国際ガラ公演への出演多数。

生い立ち・来歴

◆父はカーレーサー(『Drag Race』と呼ばれる、トラックを使った車のレース)。

バレエとの出会いは7歳の時。姉がダンスクラスで踊るのを見てバレエとタップを始める。

20歳の時にアキレス腱を断裂。踊ることはおろか、一生足を引きずって歩くことになるかもしれないと言われた。
しかし大変有能なスウェーデン人外科医との出会いに助けられ、治療とリハビリを経て約1年で回復。リハビリの間には学士号(BA(Hon))を取得している。

◆2011年バレエ学校時代に出会った同団団員のエリザベス・ハロッズ(当時ファースト・アーティスト、現ソリスト)と結婚

◆2015年に長女(オードリー・ブルーベルちゃん)誕生

◆2016年に長男(フレデリック・チャールズくん)誕生

その他・プライベートライフなど

『自分が100歳に思える時がある』:2015年3月の英紙『ガーディアン』の記事より

◆シーズン中の1日のスケジュールは、10:30のレッスンから始まり、午後にリハーサル、さらに夜の公演終わるのが夜10:30くらい。

◆リタイア後には団のディレクターに就任し、身体を毎日酷使するこの実情(時としてアスリートより過酷なバレエ・ダンサーのスケジュール(1日12時間勤務、週6日間、休みほぼ無し))を変えたい。

◆(身体を酷使することにより)首は筋違いを起こし、太ももは死んだようになり、足首は腫れる。足指の爪に血豆が出来るので、定期的に爪に穴を開けて圧を抜いている。

◆しかしステージに立った時は痛みを忘れ(時に痛み止めの力を借りながら)、膝を壊しながらもジャンプをつづける。それが最後の舞台になるかもしれないから。

◆そんな過酷なスケジュールを続けていると、朝起きたときに『自分が100歳に思える時がある』

◆世界で最も優れたバレリーナたちと踊る機会に恵まれるなど、ダンサーとしては最も幸運なひとりであると自認している。

マルチで外交的、日本のマンガの監修も!

SNSでの活発な情報発信インスタグラム(ID: stevenmacrae_ )をほぼ毎日かかさずUP。リハーサル風景やエクササイズの画像&動画などバレエに関することだけでなく、愛娘オードリーちゃんの成長ぶりがわかる画像などプライベートライフもオープンにしており、ファンとのつながりを重視している姿勢がうかがえます。

日本のバレエ・マンガの監修―『Dancing』(2013年8月創刊・日本の男子向けバレエ雑誌)に掲載中の、世界初(おそらく)のヒーローファンタジー系バレエ漫画『ダンの冒険』製作に携わり、自身も登場人物のモデル(主人公『ダン』の先輩(その名も「マクレイ先輩」!))となっています。マクレー自身が日本のアニメや漫画を好きだったことから生まれた企画だそう。
↓↓

ぜひご覧いただきたい、Youtube動画リンク集

英国ロイヤル・オペラ・ハウス公式動画より:その1
『ロミオとジュリエット』のリハーサル・シーン
2016年初夏の日本ツアーでも披露された『マクミラン版・ロミオとジュリエット』、サラ・ラムとのリハーサルシーンです。作品について語るマクレーの目にパッションが宿っています。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス公式動画より:その2
優れたタップダンサーとしても知られるマクレイと、ヴァイオリニスト:ヴァスコ・ヴァッシレフがコラボレーションした『Czárdás(チャルダッシュ)』。スタイリッシュでクール、かつ情熱的!タップ?と興味がわかない方でも、ぜひぜひぜひ!ご覧ください!

17歳の時、ローザンヌ国際バレエコンクールにて
クラシックバレエでの『海賊』

◆おまけ・奥様エリザベス・ハロッズとポール・キーによる『眠りの森の美女』から『長靴を履いた猫と白い猫のパ・ド・ドゥ』

マクレイの踊りを、高画質で&繰り返し楽しみたい方はDVDで!

◆DVD:英国ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』

2009年11~12月コヴェント・ガーデン王立歌劇場での公演を収録したDVD。
こんぺい糖の吉田都さんと王子役のマクレイの相性がとてもよく、怖いくらい息の合った踊りを披露しています。収録から年月は経っていますが、全篇通じて色あせない名盤。バレエDVDを初めて購入される方にもおすすめです。

◆DVD:英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』

2009年3月コヴェント・ガーデン王立歌劇場での公演を収録したDVD。
マクレイは主役の王子ではなく、『パ・ド・トロワ』に登場。トロワの女性二人は、崔由姫&ラウラ・モレーラと、これまた実力派、卓越したテクニックを持つ3人のエレガンス溢れる踊りが素晴らしいハーモニーを奏でています! (白鳥のマリアネラ・ヌニェスも息をのむ美しさです^^)

◆DVD:ロイヤルバレエ ヴィサラ/牧神の午後/カルメン/チャイコフスキーのパ・ド・ドゥ[DVD]
2015年10月ロイヤル・オペラ・ハウスにて収録されたガラ公演。
マクレイは『チャイコフスキーのパ・ド・ドゥ』に登場。ゲスト・アーティストとしてしばしばロイヤルの舞台に出演、このところパートナーを組むことの多いヤーナ・サレンコと踊ってます。
革新的なチャレンジを続けるロイヤルの"今"が感じ取れる一枚です。

筆者からひとこと

◆筆者がマクレイに注目したきっかけは、数年前にDVDで観た英国ロイヤル・バレエの『くるみ割り人形』(DVDご紹介の項を参照ください)でした。
冬になると子供時代の記憶が呼び起こされて観たくなる『くるみ』、この際DVDを買ってしまおう!と、こんぺい糖役の吉田都さんに惹かれて購入したのですが、『相手役の男性ダンサー…すごい!!!』と都さんと同じくらい目が吸い寄せられたのがマクレイでした。

◆始めこそ、お鼻が高くて彫りの深い『THE 西洋人』なお顔立ちに目が行っていたのですが… とにかくパのひとつひとつがクリアで完成度が高く、素晴らしい身体能力と柔軟性の高さもお持ちなので、回転は思った以上に早く、アラベスクは思った以上に高く、ジャンプは思った以上に高く、、、観ていて『ワオ!!!』と驚く場面がたくさんあり、実にスカッと気持ちのいい!のです。マニュエル・ルグリ以外の男性ダンサーの踊りに魅せられたのは初めてでした。

◆すっかりマクレイの踊りのトリコとなった筆者、2015年の『世界バレエ・フェスティバル』でついにナマ・マクレイを観る機会に恵まれました。この時の演目は『ロミオとジュリエット』のバルコニー・シーン。キレッキレの踊りが生で観られたのも感激でしたが、終演後、サインや写真を求めるファンにとてもにこやかかつ丁寧に対応していたのを垣間見て、『超ナイス・ガイではないか!』と人間としても好感を持ちました。

◆さらにハマっていった筆者は、彼のインスタグラムのフォローを開始。毎朝、美しい舞台での画像やワークアウト風景、たいへん美しい奥様や愛娘オードリーちゃんとのショット(いいパパ&イクメン!)を見て、元気をもらっています。
マクレイの踊りを参考にするのはおこがましいですが、なぜ『タンデュ』するだけでああも美しいのだろう・・・?と謎解きを試みるだけでも、得られるものがあるのでは?なんて思っています。

◆2016年夏の日本ツアーでは、念願の『ロミオとジュリエット』全幕を鑑賞。単純なステップにさえ特別な輝きを与えてしまうテクニックと躍動感あふれるカラダの美しさ、アゴが外れるかと思った(笑)ほどの超高速シェネに脱帽でした。

スティーブン・マクレイさんについて、いかがでしたでしょうか?
記事を書くにあたって調べてみて、バレエ・ダンサーがいかに肉体的消耗と戦いながら舞台に立っているかが改めてわかりました。舞台上のマクレイさんを見ていると、そのような苦労は微塵も見えないのですが。。。
踊りだけ見ると、完璧主義者で緻密、なのにおおらかでオープンなオージー気質を持ったマクレイさん、次はいつどんな踊りを観られるのだろう?
どうかケガしないで、長く踊り続けてほしい…!

~reverence~

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