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バレエ@映画館:レビュー|『眠れる森の美女』英国ロイヤル2016/2017シネマシーズン

2023/06/01

ちょうど都合が良い日だったので、封切り日に見てまいりました! 英国ロイヤル・バレエの2016/17シネマ・シーズン第4弾『眠れる森の美女』

そこで、鑑賞にあたって役立つかも?な、上映時間や休憩などのちょっとした情報と、感想をまとめてみました。

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タイムスケール(上映時間・休憩など)について

筆者が鑑賞した映画館での、ざっくりしたタイムスケールは以下の通りでした。(映画館によって開始時間やタイミングのズレがあると考えられる&手元が暗くてきちんと記録できなかったので、あくまでご参考程度に。)

日本での公開に先立って生中継された時(2017年2月28日)の映像が、そのまま編集せずに上映されます。

映画館でのタイムスケール(ご参考まで!)

↓映画館に貼りだしてあった休憩時間。3時間25分の長尺なので、各9分/8分の休憩が2回入ります。

◆10:10(映画館で"開始時間"として表示されている時間)~10:23ごろ⇒見逃してもOK。
・映画の予告(バレエ関連ではなく普通の映画の予告)や『NO MORE映画泥棒』『上映中のマナーについて』の映像

◆10:23~10:37ごろ(15分間ほど)
・ROH(ロイヤルオペラハウス)シネマシーズン2016/17の紹介映像
・進行役のダーシー・バッセル(元プリンシパル)と司会者登場
・関係者インタビュー映像(オーロラ役のマリアネラ・ヌニェス、フロリムンド王子役のムンタギロフ含む)
・ROH総監督ケヴィン・オヘアへのインタビュー
・劇場ライブ映像(観客席が映っているだけ…)

◆10:37~11:18ごろ(41分間ほど) プロローグ

◆11:18~11:27ごろ(9分間) 休憩(スクリーンに"Interval 9 minutes"の表示が出ます)

◆11:27~12:13ごろ(36分間ほど)1946年の上演時リラの精を演じたデイム・ベリル・グレイへのインタビューなど⇒ 1幕

◆12:13~12:21ごろ(8分間) 休憩(スクリーンに"Interval 8 minutes"の表示が出ます)

◆12:21~13:45ごろ(1時間24分間ほど) ケヴィン・オヘアへのインタビューなど⇒ 2幕・3幕 ⇒終了

2回目の休憩以降、2幕(幻影&目覚めの場面)・3幕(結婚式)を続けて上映するので、このパートだけが長~いです。見どころ満載なので、飽きはしないのですが。

他にも、ポワント・シューズ基金への募金を募る映像や、リラの精のマイムについての映像などが差し込まれていたのですが、どこのタイミングだったかは忘れてしまいました^^;(ちなみに、これらの映像はYoutubeのロイヤルオペラハウス公式チャンネルで視聴可能です。

休憩の間はずーっと幕を閉じた舞台が映っていて、休憩の残り時間が分単位で表示されます。

『デジタルプログラム』について

簡易版の配役表とあらすじだけなら、英国ロイヤルのこちらのページ(PDFのキャストシート・英語)で確認でき、こちらでも充分かと思います。(ちょっとマニアックな英国ロイヤルファンである筆者は、スマホ画面にPDFを保存して映画館に持参し、キャストを確認しながら鑑賞しました^^;)

上映中、たびたび『詳しくはデジタルプログラムを見てね』的なお知らせが入るのですが、こちらには製作過程やインタビュー、作品についての解説などのコンテンツが含まれます。
『デジタルプログラム(英語)』は、こちらから入手可能です。

実際にROHのHPから入手してみたのですが、個人的には手順↓が面倒臭く感じました。

オンラインショップで£2.99で販売されている『デジタルプログラム』が、"プロモーションコ―ド(promo code)”の欄に 『FREEBEAUTY』 を入力すれば課金されることなく購入できる、というスタイル。住所・氏名などを入力してメンバー登録が必要。ただし、支払い方法の登録は不要。

すでに登録している方にとっては簡単に入手できてよいかもしれませんが、そうでない場合&英語が苦手な方にはちょっと面倒なシステムかもしれません。

『眠れる森の美女』筆者の感想・レビュー

"クラシック・バレエ"のエッセンスがすべて詰まった名舞台!期待を裏切りません。

ピンクや白の豪華なチュチュ、キラキラ輝くティアラ、王子さまとお姫様・妖精たち、おとぎ話のキャラクター、華やかで甘く美しい音楽、そして正統派クラシック・バレエの形式にのっとった振付け… クラシック・バレエと言えばコレ!という要素をすべて網羅しているバレエ作品『眠れる森の美女』。そんな"ザ・クラシック・バレエ"である"眠り"ですが、全幕通して舞台できちんと観られる機会は案外少ないものです。

そんなクラシック・バレエのアイコニック的作品が、英国ロイヤルの最高のダンサー&スタッフによって上演された今作は、やはり期待を裏切らない素晴らしさ!踊りも衣装も演出も、全てが『"眠り"はこうあってほしい!』という思いを超えるものを観せてもらえて、幸せ感で満ち足りた気持ちになれました。

"職人"の域に達したマリアネラ・ヌニェス、圧巻のパフォーマンス!

好きなダンサーは?と聞かれたら、一番に名前を挙げるダンサー、マリアネラ・ヌニェス。
今まで一度もそのパフォーマンスに落胆したことはないものの、今回ばかりは「16歳のオーロラを演じるには円熟味ありすぎでは…」と若干心配でした(上映時35歳)。が、表現・テクニックともに職人の域に達した圧倒的なパフォーマンスを前にして、そんな懸念は吹き飛んでしまいました。

身体の全ての部位を思いのままに操れるのでは?と思うほど、超絶技巧も軽々こなすテクニックの高さは圧巻。この1曲を踊りきると1つの作品を踊りきった時と同じくらい疲れると言われるローズ・アダジオでも、マリアネラは難しければ難しいほど楽しい!と言わんばかりの余裕の表情で可憐に踊りきってみせてくれました。

そのあとすぐのオーロラのバリエーションは、コンクールなどで若いダンサーによる踊りを観る機会が多いですが、マリアネラの場合、同じルーティンが続く振付ではだんだん動きを大きくしてみたり、アームスの使い方に変化をつけたりという動きの面はもちろん、役柄に息吹が吹き込まれたように活き活きした表情や目線づかいなど、色んな面で『ワオ!』と思わせる瞬間の作り方が本当に巧みで、20年以上に渡るプロ経験を積んだバレリーナならではの細部まで趣向を凝らした踊りを堪能できました。

高度なテクニックを駆使して巧みに踊る、というレベルより更に一段階上のバレエを観た気がします。(ほめ過ぎ?お許しください^^;)

フロリムンド王子役のワディム・ムンタギロフ

186cmという長身ながら、重さや硬さを全く感じさせないしなやかでクリアな踊りに、すっかり目を奪われました!ソロでの大喝采を見ると、劇場で舞台を観ていた観客も魅了されていたのでしょう。あのマニュエル・ルグリが『注目しているダンサー』に彼の名を挙げた、というのも納得。

背の高いダンサーの場合、モリモリの筋肉や足さばきにワイルド~な印象を受けることが多いのですが、ムンタギロフの場合、すらりとした体躯・踊り・お顔立ち、どこをとっても気品が感じられ、フロリムンド王子役が完璧にハマっていたと思います。

カーテンコールでは、八重歯をのぞかせて初々しい笑顔を見せる彼ですが、現在27歳。若さと経験のバランスがとれている感がある彼、近々他の作品でもその清々しい踊りが観たいものです!

日本ゆかりのダンサーが多数出演!

日本ゆかりのダンサーの姿が予想以上に多く観られたのも、大きな収穫でした。

◆優しさの精(FAIRY OF THE CRYSTAL FOUNTAIN):崔 由姫
◆元気の精(FAIRY OF THE ENCHANTED GARDEN):高田 茜
◆フロリナ王女:高田 茜
と、キャストシートに掲載されていて楽しみにしていたダンサー以外にも、

リラの精のエスコートに平野亮一さん、
群舞にはたびたび佐々木万璃子さんや桂千里さんの姿が確認できました。(おふたりとも4回ほど衣装替えして登場されていました…舞台裏では大忙しでしょうね!)

英国王立でありながら、このような多様性を見せてくれるところに、英国ロイヤル・バレエの懐の広さを感じるし、日本人として嬉しくなります。

"バレエ・トリビア"が得られるのも嬉しい。

幕間に挿入されるインタビューや舞台裏の映像なども大変興味深い内容でした。

”リラの精役のダンサーは、1幕まではしっかりした素材、2幕以降では柔らかな素材のトウシューズ、と履き分ける人も。”

とか、

”1946年終戦後に上演された『眠り』では、衣装の一部に紙ナプキンを使ったりした。”

などなど、へえ~!と驚くトリビアがたくさん仕入れられましたよ^^!

映画館で3600円?と思うかも、ですが値打ちアリ!

映画館での上映に3600円(学生は2500円)も?とお思いになるかもしれませんが、DVDでは決して得られない臨場感と音響で、生の舞台よりむしろハッキリ踊りが観られ、マメ知識も仕入れられ、の3時間ちょい(=短い映画2本分)と思えば、決して高くはなく、むしろお得感すら感じられます。(日本で生の舞台をあのアングルで見ようと思ったら、20000円以上かかっちゃう!)

上映は5月18日(一部19日)まで。ぜひぜひぜひ!
~reverence~

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