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5つのバレエ団のくるみ割り人形『雪のワルツ』を見比べてみた^^

2023/05/24

クリスマスシーズンは、『くるみ割りシーズン』なのです。

バレエ愛好者にとっては『クリスマスシーズン=くるみ割りシーズン』、ですよね!

踊りもチャイコフスキーの音楽も、どの場面を切り取っても鮮やかで印象的なこの作品。

子供も大人も世代に関係なく楽しめることもあって、冬の定番上演作として世界中のバレエ団でさまざまなバージョンで踊られています。

(『くるみ割り人形』のあらすじ(ライト版ですが)はこちらの過去記事をごらんください。)

『雪のワルツ』 バレエ団による違いを見比べてみたら。

中でも『雪のワルツ(The Waltz of Snowflakes)』は、"雪が降るさま"を音楽でここまで表現できるなんて!と、改めてチャイコフスキーの天才ぶりに敬服する名曲です。

バレエ『くるみ割り人形』では、『雪の踊り』(『雪片の踊り』『雪の精の踊り』などさまざまな呼び名あり)として、空から舞い落ちる雪たちの踊りが見どころのひとつとなっています。

筆者も"雪のワルツ"のシーンが大好き!ということで、今回はさまざまなバレエ団による『雪のワルツ』の踊りを見比べてみました。

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英国ロイヤルバレエ:陽性な"雪の精"たちの踊り

裾がギザギザカットのロマンティックチュチュ(スカート丈が長いほうのチュチュ)、ゴージャスなヘッドアクセサリー、髪の色までプラチナゴールドで揃えていて、なかなか凝った英国ロイヤルバージョンのコスチューム。

"雪そのもの"というよりは"雪の精"をイメージしているのか、晴れやかな表情に"優しく二人を見送る雪の精"という印象を受ける雪の踊りです。

クララは現ソリストのメーガン・グレース・ヒンキス、王子はリカルド・セルベラ。雪の精の中には金子扶生さんやヤスミン・ナグディ、エリザベス・ハロッドの姿も!豪華メンバーです。

マリインスキー・バレエ:冷たく美しい"雪そのもの"を表現?

腕のポンポン飾りが印象的なマリインスキーのコスチューム。クラシック・チュチュの色は照明効果も相まって青白くさえあるほど白く(蛍光塗料も使ってあるような気もする。。)、冷たい空気感がでています。

踊り手の表情に笑顔はなく、まるで"雪そのもの"になりきっているかのよう。ロイヤルの"雪の精"に明るさが感じられたのとは対照的。

クラシックバレエのフォーマットに乗せた規則性ある振り付けは、他バレエ団と比較すると保守的にも思われますが、これぞ古式ゆかしい"THEクラシックバレエ"という感じで、安心してみていられます。(最後に掃けていくところがちょっとオモシロいけど^^;。)

パリ・オペラ座:ジュエルズ?いえいえ、雪の結晶ですね!これは。

さすがパリ・オペラ座!とうならせる、シックかつデザイン性の高いコスチュームは、ひとりひとりが主役級のゴージャスさ!("ジュエルズ"の衣装といわれても不思議じゃないくらい。)

その他に類を見ないコスチュームと、シャープで万華鏡のような幾何学的美しさが感じられる踊り(見ていて飽きない!)からして、これは雪の結晶をイメージしたのだと推察しましたが、、、合ってます?

↓ オペラ座公式の宣伝用トレイラー。雪の踊りは短いですが雰囲気はおわかりいただけるかと。(ドロテ&マチューのくるみ…観たい…!)

ちなみに、英語では『The Nutcracker』の『くるみ割り人形』ですが、フランス語では『Casse-Noisette(割る-ヘーゼルナッツ)』なんですね。どおりで検索しても見当たらないと思った…^^;

ニューヨーク・シティ・バレエ団:静かに降り続ける粉雪のよう

タイトルに" Balanchine´s Nutcracker"とあり、バランシン振付なのだと思われます。

その先入観あってのことかもしれませんが、ただひたすらに粉雪が降るさまを踊りで表現したかったかのような、目立った趣向を敢えて施さないシンプルな踊りが写実的美しさを感じさせます。

2グループめの4人組が少しタイミングをずらしてポーズをとる登場(01:16あたり)のしかたが、次々と地上に舞い落ちる雪のようで、心惹かれました。

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ:初めて見た!男性登場のバージョン。

※映像はコチラをクリックでご覧ください。

かつて吉田都さんがプリンシパルとしてご活躍されていた英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ。(ちなみに都さんは英国ロイヤル・バレエでもプリンシパルを務められました。)

こちらの雪の踊りは、男性ダンサーが登場するバージョン!

曲の中盤(4:05あたり)でいきなりの男性ダンサーの登場にはちょっとびっくり!ですが、ふわりと宙を飛ぶジャンプは吹いては雪を巻き上げる突風のようで、効果的! 一見の価値ありです。

いかがでしたか?

同じ作品名の同じ曲を使った踊りでも、振り付けや解釈によって全然違う趣の踊りになりますよね!

こうして並べてみると、違いがよくわかって興味深いです。

…そういえば、子供の頃に発表会でこの曲を踊ったことを今思い出した筆者。だからこんなに気にかかるのね、この曲が…。

~reverence~

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