バレエ用語と動き| 『ロン・ドゥ・ジャンブ』(「ア・テール」&「アン・レール」)
2023/05/25
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脚で円を描く動き=『ロン・ドゥ・ジャンブ』
ロン・ドゥ・ジャンブ=仏語『Rond De Jambe』。
『Rond』は英語の『Round』に相当し、『丸い、円状の』という意味、
『Jambe』は『脚』。
ゆえに『ロン・ドゥ・ジャンブ』は、『脚で円』を描く動きとなりますが、大人バレエのレッスンでこの言葉が登場するのは『ロン・ド・ジャンブ・ア・テール』と『ロン・ドゥ・ジャンブ・アンレール』であることがほとんどです。
『ロン・ドゥ・ジャンブ・ア・テール』
『脚で円を描く』に「地面」を意味する『テール(terre)』がついている『ロン・ドゥ・ジャンブ・ア・テール』。
タンジュした足のつま先で床に円を描く動きを指します。
身体をコンパスのように使い、軸脚を中心として、伸ばした動脚できれいな半円を描くイメージです。
『ロン・ドゥ・ジャンブ・ア・テール』の動きを分解
1番ポジションから外回り(アンドゥオール)で『ロン・ドゥ・ジャンブ・ア・テール』する時の動きを分解するとこうなります。
1、1番ポジションで立つ
2、前にタンデュする。(内腿を使って、脚を外旋させて、かかと先行で、というポイントはタンデュと同様)
3、つま先で床に『半円』を描くイメージで、脚全体を伸ばしたまま後ろタンデュの位置までくるりと動かす
4、1番ポジションに戻す(連続して行うときも必ず1番を通過する)
このほか、後ろタンデュから前に向かって(アンデダンの方向で)半円を描く場合、1/4円(90度)を描いてアラセゴンで終わる/始まる場合や、軸足をプリエしながら行う場合などのバージョンがあります。
バーレッスンで確認したい・『ロン・ドゥ・ジャンブ・ア・テール』のチェックリスト
☑ 1番ポジションを毎回通過する(連続して行う場合)
☑ 床に描く円はきれいに、大きく(いびつにならない・つま先まで伸ばしきり、一番遠くを通る)
☑ (1番を通過する前後に)動脚を直線的に動かす部分では、タンデュの要領で脚の内腿をしっかり使う
☑ 円を描く部分では股関節をリラックスさせて脚がフリーに動く感じで。
☑ 上体を引き上げると同時に軸足で床を押すことでまっすぐな軸を作り、その軸を中心点として円を描く(『コンパス』をイメージ)
☑ 骨盤の位置はぐらぐら動かない
☑ (特に動脚の)アン・ドゥオールへの意識を途切れさせない
一番のポイントは、『股関節をリラックスさせる』ことです。
全篇英語ではありますが、『ロン・ドゥ・ジャンブの解剖学(Rond de jambe Anatomy)』と題した動画を見つけました。
その中で紹介している『脚を鼠蹊部(股のVライン)で切り離すような感覚を体感する動き(開始1分~1分30秒あたり)』は、『股関節をリラックス』させる感覚をつかむのに参考になります。
意識すべきポイントを網羅しようと頑張れば頑張るほど、骨&筋肉ともに緊張して動きを制限してしまう方向に行きがちです。
バレエの動きには、『緊張』と『脱力』の両方が必要とよく言われます。
部分的に『緊張』と『脱力』を使い分けるなんて、自分にできるようになるのか…と果てしない気持ちになりますが、身体を制御できるようになるには『意識をもった地道な反復』しかないんですね、きっと。。。
『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』
『脚で円を描く』に「空中」を意味する『アン・レール(en lair)』がついている『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』。
足を床につけて行われる『ア・テール』に対し、『アン・レール』は脚を上げて行います。
直訳すると『脚を空中で回す』動き、となりますが、バレエでは、より限定して脚を横(アラセゴン)に上げてキープし、膝から下だけを旋回させる動きを指して使われることがほとんどです。
旋回の方向は『アン・ドゥ・オール』か『アン・デダン』のいずれかで行われ、1つの音で2回以上旋回させる場合もあります。
膝から下を旋回させる時のつま先が通るコースや、上げてキープする脚の高さについては、メソッドによる違いがあるようですが、基本的な身体の使い方には大差ありません。
『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』の動き
こちらの動画で『マイアミ・シティ・バレエ』のプリンシパル、ジェニファー・カーリン・クロネンバーグさんがわかりやすく『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』の動きを説明してくれています。
映像で見ると、さらっとやってのけているように見えますが…
ご存知の通り、実はとーっても難しい『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』。
『引き上げ』や『アン・ドゥ・オール』はもちろん、上げた脚をキープする力、動脚の動きに流されない強い軸づくり、そのためのお腹やお尻の筋力、各部位のコーディネーション、、、
繊細かつダイナミックな身体の使い方が必要とされます。。。
バーレッスンで確認したい・『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』のチェックリスト
☑ 動脚はムリなくキープできる高さに。(高く上げることを目標としない。)キープせきる高さでなくては、旋回させた際に軸がブレ、全体のバランスが崩れる。
☑ 動脚のひざ下を旋回させる際には、ひざ下のみを動かす。
☑ デコルテとアームスは力まずリラックスさせ、広く伸びやかに使う。
『ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レール』は、ピルエットやフェッテの下地となる動き。
連続して行うと、すぐに息が切れるほどツライのですが(筆者がポイントをつかんでいないから?筋力がないから?)、いつかフェッテでくるくると!を目指して、頑張りたいと思います。
~reverence~